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カリキュラム
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第T講 遅れ破壊の概要と実例
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1.遅れ破壊の概要
a.遅れ破壊の定義
b.遅れ破壊の歴史
2.遅れ破壊の実例
a.高力ボルト
b.バネ
c.置き割れ
d.その他
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遅れ破壊とは何か?静的応力下で水素の影響によって、使用してからある時間経過後に突然破壊する現象であること、これまでの破壊事例からどのように認識が進んだかを述べる。
遅れ破壊の実例の代表的な部品について、使用条件、鋼種、破面解析などから原因を探る。演習として、受講者が経験した遅れ破壊実例を自ら解析する。
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第U講 遅れ破壊に及ぼす材料因子
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3.遅れ破壊に及ぼす材料因子
a.焼戻しマルテンサイトとベイナイト
b.不純物偏析
c.強度レベル
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遅れ破壊を最も生じやすい鋼種は焼入れ焼戻ししたマルテンサイト系の低合金鋼である。この場合の遅れ破壊を生じやすくする因子が何かを述べる。これに対してベイナイト鋼や強加エパーライトのピアノ線は遅れ破壊を生じにくい。これらの理由や破面の特徴などを述べる。
材料因子としての合金元素の役割や粒界割れの原因などを演習で学ぶ。
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第V講 環境因子と破壊のメカニズム
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4.遅れ破壊に及ぼす環境因子
a.腐食環境
b.温度
5.遅れ破壊のメカニズム
a.応力集中と降伏条件
b.拡散性水素と非拡散性水素
c.破面の特徴
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使用中に環境からどのように水素が侵入するか?温度の影響はどうか?実験例に基づいて延べる。
水素が侵入する機構、内部に吸蔵された水素の存在状態(欠陥にトラップされる状態)、破壊の機構、破面の形態などを学ぶ。水素の拡散、活性化エネルギーの求め方など計算を演習する。
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第W講 防止対策と試験法
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6.遅れ破壊の防止策
a.材質的改良
b.防食、表面処理
c.ベイキング
d.危険な鋼種
7.遅れ破壊試験法
a.遅れ破壊線図
b.臨界水素量
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最終講では、遅れ破壊はどうしたら防止できるか、材質で解決できるか、表面処理で解決できるか、メッキ後のベイキングはどうすべきか、などかを学ぶ。また市販鋼で強度等級が12.9級のボルトは使用すべきか否か?演習問題として考える。
遅れ破壊の方法、求めるパラメーターなど、最近の学会での知見も含めて紹介する。従来は遅れ破壊限度(応力)を評価基準にしたが、臨界水素量という概念が評価基準として妥当かどうか検討する。
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