

小職は、1967年に大学卒業と同時に鞄立製作所に入社し、半導体用のパッケージ技術の研究開発と実用化を担当させていただきました。入社当時はIC産業を国の大きな事業にするべく国家プロジェクトが推進され、大型計算機、電子交換機用のICの開発に着手を始めたばかりでした。これらの機器用には、気密封止型パッケージとしてT0-3ピン、T0-5ピンなどの蛍光灯の電極部のような構造のガラスタイプが使われていました。ICの規模が多くなる要求に従いセラミックパッケージ技術の立上げが求められ、米国RCA社から技術導入して積層セラミックパッケージの開発武蔵工場で行いました。
その後ICは電卓に使いたいとの要望があり、低価格で多ピンのパッケージの開発を推進しました。1970年台に入ると電卓戦争と呼ばれる軽薄短小と多桁表示の市場要求があり、樹脂封止型の40ピンを超えるICにあうパッケージとしてプリント基板表面の配線に平行に接続端子を持つQFP(Quad Flat Package)を開発しました。このQFPは、実装性が高いと評判となり、各種IC、LSIに多く使われました。QFPは電卓という顧客要求に合わせた形状にしておりましたので、半導体各社間の統一が必要になりました。そこで(社)日本電子機械工業会(EIAJ)の半導体外形委員会に提案して、各社のQFPを統合することにしました。ところが各社の利害もあり既に市場に出回っているものは、統一が困難と判断して、新規に設計してゆくものから設計統一する設計基準を制定しました。
設計統一規格は、国際的にも統一の必要性を感じて、米国の半導体外形委員会JEDEC(JC11)の方々に相談したところ、賛同を得て第1回日米半導体パッケージ合同委員会を1988年3月にハワイ島で開催しました。 半導体外形寸法の標準化する上には、検査方法、適用材料、製造装置の広範な標準化が必要でありました。そこでこの当時米国で産声を上げていた半導体材料・装置関係の国際組織の中にパッケージ標準委員会の必要性を感じて、この方面の技術交流の場としてSEMIの技術シンポジューム(STS)の中にパッケージ技術を啓蒙する場を設定いたしました。しかし時間の関係で技術に対する十分とれませんでした。技術を討論する学会などもなく、現ISS産業科学システムズ社に、パッケージ技術交流の場を設けることにしました。同社の努力もありこのパッケージ技術交流の場が、日本の半導体パッケージ技術交流や教育の場となり、この社のシンポジュームを通じて日本の半導体パッケージ関連産業が大きく育つことになりました。現在1部上場の多くの企業が世界的な地位をしてていますが、QFPを通じて企業の枠を超えた協力体制によるところが大きいと思います。
筆者はその後DRAM用の高密度実装用LOC(Lead on Chip)技術、半導体素子サイズで実装するCSP(Chip Scale Package)技術などを開発して、EIAJやSEMIの標準化活動、ISS産業科学システムズの技術啓蒙活動を通じて、パソコンや携帯電話の高密度実装技術を開発して電子産業の下支えをさせていただきました。
21世紀に入り半導体パッケージ技術は、LSI設計に取り込まれて機能の向上を行うシステムインパッケージ(SiP)時代になりました。この時代には、半導体設計・製造を統合化することが求められ、1990年代に起こった水平分業型から垂直統合型設計が求められてきています。日本の半導体産業は、ユビキタスネットワークや情報家電など日本の半導体会社が持つ強みを統合的に出せる時代に入りました。
21世紀の半導体は、20世紀をリードしたシリコン半導体に加えて、光や無線など電磁波制御の優れた化合物半導体・酸化物半導体の適用が進み、人体センサーの研究からより微少な出来反応が出来る有機半導体が使われようとしています。人体や生物の半導体反応の研究からより電力消費の少ない電子機器や、太陽光を用いた電力供給方式の電子機器、医療分野と工業の融合が進みより安全で、平和で、暮らしやすい社会の構築をめざしていただきたく思います。
このような過去の状況や現状分析からISS産業科学システムズ社を事務局として「半導体新技術研究会」の活動を行うものです。
2 半導体新技術研究会設立の経緯と目的
1 「半導体新技術研究会」設立趣旨
半導体新技術研究会
1 「半導体新技術研究会」設立趣旨
半導体産業は,情報家電や自動車のエレクトロニクス化やパソコンの買い替え需要などで漸く上昇基調に乗る現象が見えてまいりました。このような状況になってきているのも半導体技術を事業の根幹に置き、着実な技術革新をしてこられた関係者各位の努力の賜物と感じております。ユビキタス社会になって半導体の重要性も,益々高められると思います。今後の半導体関係商品では、電子・無線・光など電磁波の物理現象を理解した商品開発が望まれます。半導体材料では、有機半導体・酸化物半導体・化合物半導体などより物理現象を理解した上での半導体設計と、それを使う商品開発が望まれております。微小で複雑になる半導体現象を理解して半導体設計をしてゆくために、産業界のみならず学術界や政府関係機関などの幅広い専門家の技術交流の場が必要と考えております。
折りしも大学の独立行政法人化で大学と産業界の交流も頻繁に行われるようになってきております。また国は、科学立国を目指して総理大臣主催で「産業科学技術会議」が開催され、日本人の持つ豊かな感性を知的集積して、国力を高める活動が推進されております。この会議では重点分野として情報産業分野、エネルギー分野、バイオ分野、それに産業の基本技術となるナノテク分野の4分野が指定されました。死の谷(デスバレー)を浅くして、事業活動を活発にすることを目指して、現在各種の産学官連携の国家プロジェクトが推進されております。さらに平成16年度の予算では、ナノテク分析・解析産業を国の柱として育ててゆくために、相当額のお金が投資されようと計画されています。省庁間の壁をなくして、今までの公共投資型から頭脳投資型の構造改革が内閣府を中心として、大きく舵が切られてきています。産業界といたしましても、小泉政権の進める構造改革路線に協力して、大学の研究成果を産業として事業拡大させ、国力増強を行わなければなりません。
近年半導体製品を使う商品寿命は短命化しており、半導体技術開発に要求される開発スピードも非常に速くなってきています。従来のように半導体各社が同じ製品を製造するのではなく、半導体メーカ各社は得意分野製品に特化し、半導体各社が製品分野を分担しながら国として大きな力にしてゆかねばなりません。そのためには研究開発に携わる人々の有機的連携が必要と感じました。半導体設計を担当している方々に趣旨をお話し申し上げたところ、多方面からの交流の場の必要性で支持を得られました。そこでこの度半導体の新技術を設計面から検討してゆく研究会として場として、「半導体新技術研究会」を創設することとしました。
半導体産業の技術開発に携わる人々の技術交流の場としてこの会を発展させて戴きたく、皆様方のご支援とご協力をお願い申し上げます。
新しく開発されてゆく半導体製品やそれを使う商品などを紹介し、交流する場とします。
参加は自由参加として企業レベルでも個人レベルでも参加可能です。入会金や年会費は、現在考えておらずシンポジュームの運営資金で活動を進めてゆきます。新技術のテーマは随時事務局で受け付けますし、ホームページでも募集してまいります。
ホームページには最新シンポジュームの状況案内や研究活動、ニュースなどを掲載してまいります。
今後は、各企業向け講演会や大学との連携講演会なども企画してゆく予定にしております。今後の個別テーマにつきましては、事務局までメールなどご相談ください。
半導体新技術研究会
4 今後の計画
当面のシンポジュームは、図に示す内容で計画中であります。
各シンポジュームでは、角界を代表する人の基調講演、業界をリードしている企業による技術説明、商品の事業化戦略と戦術などをご説明戴く予定にしております。
3 研究会の活動